景色美しいあの島を

あなたに見せてあげたいわ

今日も漁師が海に出る

波の間を舟が行く

まるでこのわたしも

あの中の一人みたいね

絶えず飛沫(しぶき)を浴びて

海で生きているかのよう

雄島のあまの袖こそは

かくも濡れたことでしょう

いつ乾くとも知れぬほど

こぼれる涙を受け止めて

濡れそぼった袖を 御覧なさい

並ぶもの無きこの袖を

あなたに見せてあげたいわ

今日も嘆きの恋ゆえに

尽きぬ涙に血がにじむ

たとえこのわたしが

海で生きていたとしても

きっと敵わないでしょう

比べものにならないでしょう

雄島のあまの袖だにも

濡れにぞ濡れたとしても

こうして色は変わるまい

あふれる涙に染められて

変わり果てた袖を 御覧なさい

inserted by FC2 system