変わらぬ日常 いえ、いつもよりも

心憂いことが今は多いかしら

溜め息こぼして目を上げたそこに

咲き匂う君をみつけたわ

あはれと思へ山ざくら花よ

わたしが君を愛おしむように 君もわたしを

誰にわかってほしかったということではないけど

君は見てくれてるねって ふと嬉しくなったのよ

呼びかけに聞き入るようなその居住まいを

今日を(ひる)まずに歩む支えとしましょう

()(やま)()の中に 分け入った奥で

あでやかな君に思いがけず逢えば

特に寂しかったわけじゃなくても

つい笑みがこぼれてしまうわね

花よりほかに知る人もないと

気づいた胸は少しばかり痛むようだけれど

誰に認めてほしいと望むわけでもないのよ

ああ、ひとりなんだなって ふと思っただけのこと

呼びかけに応えるようなその頷きを

明日も折れずに戦う支えとしましょう

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